なぜ無料なのかを示さなくては警戒されそうだ

今晩観た関西テレビスーパーニュースアンカー」では「あふれる無料サービスをうまく利用する」をテーマに特集していた。そこではマクドの無料コーヒーの意図が、より高額なセットメニューをぜひ一度試してほしいという戦略に結びついていることを解いていた。
その次は携帯サイトの無料コンテンツビジネスを紹介していた。このサービスの例に挙げられた無料ゲームは、並行して紹介されている有料のゲームを一部のユーザが利用するのを見込んで成り立っている。また育成ゲームやネットゲームなどの中には基本が無料ながら付属部品を有料化しているサービスもあると聞く。
このような無料コンテンツビジネスを子供が利用する場合には保護者がよく注意しておかねば、無料のはずが不用意に利用料を請求されるトラブルを招きやすいという。取材を受けた保護者の一人が子供の携帯を操作する様子を見て心配そうに言った。「(有料の)注意書きも読まずゲーム感覚で進めている」(うろ覚えですみません。発言はほぼこんな感じです)
無料コーヒーなら現物もあるし即金取引なので怪しまれる恐れはほとんど無いだろう。しかしスタジオからは「なぜ無料なのかを先に調べて納得できたら安心して利用できる」というコメントがある一方で「無料には何かウラがあると思うべき」というコメントもあった。
ここから本題に入るが、先のコメントで「無料には何かウラがある」という警戒はおそらく保護者が子供に言ってきかせる最も多い態度ではないだろうか。
私はGIMPのヘルプ文書を翻訳して以来毎日のようにGIMPを使う人のブログやホームページやつぶやきを検索している。それらの紹介の多くが「無料」だ。これはネットを利用しているユーザの大きな関心事であろうし、何も問題はない。私が心配するのはオープンソースソフトウェアといえどもビジネスモデルと結びつけたモデルであればほとんどが無料サービスサイトと同じ扱いを受けざるを得ないだろうし、無関係であっても無料の意図や経緯を強くはっきりと明示しなければ警戒の対象となる誤解を受ける可能性があるということだ。今後無料コンテンツのトラブルが多発することにでもなれば、かつてのダイヤルQ2上のサービスに対する制限のように、青少年保護のもと教育現場を含めいろいろな啓蒙が必要になってくるはずだ。
もちろん無料サービスとひとくくりに言っても、無料匿名掲示板に無料の百科事典や無料の動画・音楽掲示板などなどまったく違った課題を抱えているところもある。ユーザは無料サービスといえどそれぞれ性格が違うことに気付いているだろう。子供でも教えられつつ使っているうちにだんだんわかってくれると思う。
GIMPをダウンロードしたユーザに認識してほしいのは、単に無料のソフトウェアをダウンロードしたのではなくオープンソースソフトウェアを利用したということ、なかでも有料の罠は一切ない類のソフトウェアであることだ。 たったそれだけのことだが、ネットを利用する側のリテラシ(認識と判断の能力)とソフトウェアを提供する側の明快な情報提供が共に必要になってくる。
保護者や教育現場との連携を通しオープンソースソフトウェアの意義を伝えていくよう努力してゆくべきだと思うし、できるところがあれば協力したい。
ついでに言えば、新たな範疇を表す語句がもしかしたら生まれてくるかもしれない。