GIMP 2.8.2 リリース! 2.10 系はどうかな?

今週 GIMP 2.8 は最初のバグ修正リリースを出しました。 これについて Libre Graphics World http://libregraphicsworld.org/ が興味深い記事 http://libregraphicsworld.org/blog/entry/gimp-2.8.2-released-what-is-up-with-2.10 を載せたので拙訳ながらご紹介します。
Alexandre Prokoudine 2012年8月24日
GIMP 開発チームはようやく 2.8 系で最初の更新をリリースした。 この新バージョンの特長は、 Windows ユーザーの GIMP 離れを食い止める修正をしたこと、 保存とインポートの作業工程を改善したこと、 Mac でネイティブに作動する GIMP.app のスタブを作ったことだ。

2.8 系の変更点

最初の疑問は、 何で 2.8.2 なのか、 2.8.1 はどこへ行ったのかってこと。 今回からバージョン番号のつけ方ルールが変わった。 マイクロバージョンが偶数のもの (つまり 2.8.2 や 2.8.4 や 2.8.6 ...) を決定版リリースに、 奇数のもの (2.8.3 や 2.8.5 など) は GIT リポジトリ上で扱うリリース外のものに使う。
Windows ユーザーは今回のバージョンの改善点がいちばん気になっているはずだ。

  • ファイルサイズの計算が正しくなった。 実際は GIMP が使う外部ライブラリのバグなので、 修正ではなく回避策がとられている。
  • とうとうページセットアップのオプションがプリントダイアログ内に戻された。

Windowsインストーラーは早くもバージョン 2.8.2 が Sourceforge GIMP - Downloads から入手可能となっている。 [Windows に限らない] 全体に関連しては、 JPEG で保存するオプションがまたかつてのように呼び返せるようになったほか、 ディスプレイフィルターの処理能力を改善したので以前のようにキャンバスの再描画処理を速くするためにカラーマネジメントを切っておく必要はもうなくなった。
保存とエクスポートの新仕様は改善が図られ一貫性がより高まった。 具体的には、 画像を別の名前で保存もしくはエクスポートするとファイルメニューの「上書き」項目が消える。
それから、 インポートしてきた画像やエクスポートしたあとの画像のウィンドウ表題がもっと賢くなった。 たとえば、 画像をエクスポートできてはいるものの XCF 保存はしていない場合、 かつての「名称未設定」ではなくエクスポートしたファイルの名前が表示されるようになった。
http://www.geocities.jp/ss2pxd1c/snapshots/282title.png
今年の初めに MacGTK+GIMP プロジェクトリーダーの Michael Natterer 氏によって数々の作業が推し進められ、 つづいて GIMP 2.8 がリリースされたあとで新たに加わったメンバー Free Web Hosting - Your Website need to be migrated の協力により成し遂げられた。 そして今や GIMPX11 なしで Mac で動作できるようになった。 すでに Partha Partha's Place でビルド が可能になってて、 公式の GIMP.app も出てくるはずだ。

高ビット深度のサポートは? GIMP 2.10 は?

GIMP 2.8 の変更に湧く諸君がいる一方で、 2.10 の完成とリリースを待ち望む人がまだ大勢いる -- 工事中の高ビット深度処理がどうなってるか気になるんだよね。 まあその、 良いニュースと悪いニュースがある。
悪い方から言うと、 チームの協力者がまだ不足していて作業の進み具合が遅いままだってこと。 8 月の進捗は極めて少ない (でもまたそれで、 夏がコーディングのいちばん進む季節とはいえないのだけど)。
しかしチームは新しい協力者を得た。 Elle Stone 氏はカラーマネジメントプラグインを v2.10 用に作成した貢献者だ。 この現行プラグインは LittleCMS v2 に移植される予定だ。
現在すでに新しいプラグイン Old Bug Reports は LCMS2 を使用でき、 画像を 8 ビット整数、 16 ビット整数、 32 ビット浮動小数点の各精度間相互変換をサポートしているが、 まだ必要な作業が残っている。 コードが完成したら元のソースコードリポジトリに還元統合される予定だ。
http://i.minus.com/iOLEzmx35JtEk.png
Elle の奮闘ぶりで GEGL の開発にもはずみがつき、 O/yvind Kolaas は GIMPカラーマネジメント実装計画草案を著した。 是非全文 [Gimp-developer] GIMP, GEGL, storage precision and color-management を読んでみてほしい。 その要点は、 画像を開くとき、 インポートするとき、 エクスポートするときだけ ICC 変換が働くということ。 内部的にまるで線形データの扱いとなりそう。
話は変わるけど、 GoogleSummer of Code 2012 は間もなく最終日を迎え、 GIMP と GEGL に関わった学生たちは 5 人とも合格できそうだ。 公式結果は来週の火曜日[訳注:8月28日]に公表される。 結構みんな各自の方法で GEGL 方式 GIMP の作品を出している。 やがては GIMP のフィルターその他各所の移植や、 統合変形ツール、 あるいはノード方式 GEGL エディターとなるんだね。
v2.10 がリリースできたらどうとかまだまだ言えそうにない。 GEGL 方式の画像合成や画像処理へ完全に移行が済んだあとの先行きもまだ不明なままだからだ。 いつもの言うようだけど事を速く進める最良の方法は貢献だしね。