[自然言語] 「えー」そうかも

オーストラリアのラジオ放送ストリーミングを聴いていたらベートーヴェンのことをバイトーヴェンと言うアナウンサーがいてニヤリといたしました。 おそらくこれは英語流の発音習慣が少し入り込んだからではないかと思ったのです。
いつだったか日本語で「えい」と書かれているときは「えー」と発音すべきであるから「せんせい」の「い」をそのまま発音するあの人気歌謡曲はけしからんとの批評をする人物がいたとの話をどこかで聞きました。 その規則はさておき、 「えい」どころか「え」で止めてしまう発音もよく聞くようになりましたから、 「えい」のように二重母音で話す人は少数派なのかもしれません。 (もしかしたら方言により傾向が異なるかもしれませんが詳しくは知りません。)
翻訳作業をしておりますと、 ときにはカタカナ表記を使うこともあります。 英語の発音では「エイ」と言う二重母音は随分多く使われているのに、 その単語をカタカナ訳で表すときは「エー」となる場合がよくあります。 昨今では Facebook が新聞記事となる例も見るのですが、 Facebook の日本法人が「フェイスブック」と名称定義をしているにもかかわらず、 「フェースブック」と記す記事も見かけました。
一方で英語では、 フランス語由来の単語に含まれる「ée エー」音をわざわざ「ei エイ」と発音している傾向があります。 有名なシャンゼリゼー通りのことを「シャンゼリゼイ」と言うようなことです。 どうやら英語には「エー」と伸ばす発音は無いようなのです。 日本語の共通語とはちょうど逆のしくみです。
さて冒頭のオーストラリア発音は、 「エイ」を「アイ」と発音する習わしになっています。 したがって国名はオーストライリアなのです。 おそらくドイツ語ふうに「ベー」と記憶しつつも英語化法則で「ベイ」となり豪州的に「バイ」と変化したのではないかと考えられます。 ちなみにイギリスの有名なビートルズは "Roll over Beethoven" という曲のなかで「ロローヴァビートーヴァン」とまさに英語読みしています。